第80回 皐月賞(G1)回顧 ~真っ青な空の下、鬱積を切り裂く飛行機雲~
最初に書く記事、どんな内容にしようか悩んでた。最初の一歩ってやっぱり色々と躊躇してしまったりするもんだ。
まずここは無難に、最も愛する「競馬」に関するエントリーにしました。
歴史的、『無観客開催』での皐月賞を回顧しておこう。
勝手に敬愛する望田潤先生方式でいきやす!
今年の皐月賞は各キーレースの勝ち馬が一堂に会し、その中でも突出した注目度の上位人気3頭がそれぞれこの大一番で初対戦という
なかなか煽り立てられやすい構成で、本来ならばもっと盛り上がってしかるべきレースだったと思う。そう「平時」であれば。
世界中であらゆるスポーツが「停止」してしまっている中、日本の競馬開催はできる限りの対策を尽くしながらなんとか開催を続けている。
各関係者の決意と努力には本当に頭が上がりません。
現場の気持ちは馬のデキやレースの内容にそのまま表れているように思えます。
今年の皐月賞もまた、競馬の美しさを噛み締められる素晴らしいレースでした。
年が明けてトライアルレースを挟まず休み明け直行となったコントレイルとサリオスには、戦前不安説がささやかれることの方が多かった。
僕も正直不安要素の方が大きいと感じていた。挙げればキリがないほどありましたからねw
ところが結果的にこの2頭が抜けていた。彼らの溢れんばかりの才能は他馬を軽々と凌駕していた。
レースラップ | 12.2 - 11.3 - 12.1 - 11.8 - 12.4 - 12.9 - 12.2 - 11.9 - 11.8 - 12.1 |
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前日相当の不良馬場でこれは当日どうなってしまうのかと思っていたが、朝から快晴は続き、最終的には良に近いところまで回復していた。
とはいえ内から数頭分の芝の荒れ具合は酷いものでみんな内を大きく空けながら走る形。
僕はサトノフラッグが本命軸で、ここからマルチでコントレイルとサリオスどちらかいなくなってくれたら嬉しいという馬券でした。
前日の酷い馬場を見ていたので馬券を買った朝一の段階では最低もう1秒くらいは時計がかかってくれるイメージでいた。リアルタイムで状況を追えなかったことが悔やまれる(以上言い訳)
馬そのもののポテンシャルという意味でコントレイルとサリオスが抜けていることは理解してたつもりだ。
単純にこの皐月賞へ至るまでのハイパフォーマンスレースってサリオスが完勝したSRCと朝日杯、そしてコントレイルの東スポ杯の3つしかなかったわけで。
今年に入ってからは特別際立つパフォーマンスを示した馬はいなかった。
そんな中でサトノフラッグを本命視した理由としては、使うごとに上昇していること。弥生賞で見せた適性と競馬の形が皐月賞向きだったこと。馬場も含めてリファールとハイペリオンの粘着力をひと捲りから振り絞れるもんだと、そう考えた。
また懸念材料もはっきりしていた。
まず2000のG1を勝ちきるにはトップスピードが足りないこと。大してキレないこと。
そこはルメールがそつなく運んでくれるし、捲りで誤魔化せる、馬場もこうだ、2分2秒近くかかればトップスピードで一歩劣ることなんて関係ない。
というくらいにはポジティブに考えていたw
実際思い描いていたレースは見せてくれた。ただ、少し走りにくそうにもしていて
中途半端にソフトな馬場でギアが上がりきらなかった部分はあると思う。
それでもレースラップを見ればわかるが、この締まったペースの中で捲りを打って、そこからさらに直線ギアを一段上げる。そして坂上で最後にもうひと絞りする。
それだけの力が現状なかったことには違いない。違いないんだけども、
それをさらに厳しい条件から完遂して勝ちきってしまったのがコントレイルだ。
内枠引いて、後方からになり、タイトなコーナーで外をぶん回して直線突っ込んでくる。
これは皐月賞で惜敗してダービーを勝つ馬のパターンとして見かける形。
ん? フサイチホウオー? うっ…頭が……
他に差し損ねパターンではスペシャルウィークからタニノギムレット、エイシンフラッシュにマカヒキ、レイデオロやワグネリアンあたりが続くダービーで巻き返し戴冠を果たしている。
そう、数多の名馬をもってしても普通は負けるレースをして突き抜けてしまったわけだ。
コントレイルはシンプルに化け物である。
相手はそつなく走ったサリオス。それを捻じ伏せて勝ってしまった価値は計り知れない。これにはレーンも堀先生も驚きガッカリ。
過去同じ様なレースをして勝ちきってしまった馬もいるにはいる。
無敗の3冠馬ディープインパクトと春2冠馬ドゥラメンテっていうんですけどね。つまりはそういうレベルの馬だってことだね。
結局『一番速い馬』がしっかり勝ってみせた皐月賞。さてダービーはどうなるか。
第80回 日本ダービーを勝ったのはあの大震災への思いを背負うような名前を持つノースヒルズのキズナだった。
歴史的無観客開催での第80回 皐月賞を勝ったのもまたノースヒルズのコントレイル。
世の中がこんな状況だからこそ、唯一無二の天才が飛行機雲のごとく真一文字に突き抜ける晴れ晴れとしたダービーを僕は見たい。
この世代の2強に関する血統配合面は望田先生がたくさん触れてくれているので割愛するとして、
福岡住みの僕にとってたまたま現地(東京・阪神)へ出向いたタイミングで
コントレイルとサリオス両馬の新馬戦を生で観られたことは財産にせねばならない。
2頭とも数年に1頭ってクラスのサラブレッドだと思うのでね。
サリオスに至ってはクラブで募集かかった段階から過程を見れていたわけで、これは今後に役立てたいところ。
当時は牛にしか見えなかったしデカくなりすぎて脚が持つとも思っていませんでした完敗です。
サトノフラッグについてもちょっとした思い入れはあって、彼は出資していたバラダガールの弟なんですわ。
彼女はハーツクライ産駒でフレームが大きすぎた分緩慢でスピードが出せず、リファールとハイペリオンの持続力と粘着力を発揮する形のレースが中々作れなかった。
これが父ディープインパクトに代わると、ほどよいサイズ感としなやかな体質をGETして、ディープ産駒らしい軽い脚捌きを活かしスピードもしっかり出るので母系の資質を体現できるサトノフラッグとなった。
また、サロミナも確かなスピードと軽快な脚捌きは確実に伝えるものの、ディープインパクト相手ではサイズと筋力が補強できずどうしてもワンパンチ足りなくなっていた。
しかしハーツクライを迎えたサリオスは母系の特長を十二分に受け継ぎつつ、さらに大きなフレームとそれに見合う筋力を手に入れここまでの馬が出た。
もちろんそんな単純な話ではないのだけれど、こういう見方もまた『競馬』の面白さの1つです。
コントレイルの配合も望田先生が言う通り、ここまで長く培ってきたノースヒルズのお家芸的配合馬なわけで
いや~、サラブレッドの配合論って、本当に良いモノですね。
(これはレイデオロが勝ったダービーを観戦したとき)